これまでの記事で、パテラ(膝蓋骨脱臼)のケアには、良質なタンパク質を摂って太ももに「筋肉貯金」をすることが何よりも大切だとお伝えしてきました。
しかし、ただ高タンパクな食事を食べているだけでは、筋肉はつきません。食事で摂り入れた栄養を、膝をガッチリと支える「天然のコルセット(本物の筋肉)」に変えるためには、毎日の適度な運動が絶対に必要です。
「でも、パテラがあるのに運動させて大丈夫なの?」「歩かせすぎると悪化しそうで怖い…」と不安に思う飼い主さんも多いはずです。この記事では、パテラの子の膝に負担をかけず安全に筋肉を育てる「お散歩のコツ」と、良かれと思ってやってしまう「パテラを急激に悪化させる3つのNG行動」について徹底解説します。
パテラの子にとって「安全で効果的」なお散歩の基本
パテラだからといって、ずっとケージの中で安静にさせておくのは逆効果です。筋肉が衰え、さらに膝が不安定になってしまいます。痛みが強く出て歩けない時期(急性期)を除き、無理のない範囲でのお散歩は最高のパテラケアになります。
安全なお散歩のポイントは「距離(長さ)」よりも「質(歩き方と場所)」です。
1. アスファルトを避け、土や芝生の道を歩く
硬いアスファルトの道は、歩くたびに膝の関節へダイレクトに衝撃が伝わります。できる限り、公園の土の道や芝生、あるいはクッション性の高いゴムチップ舗装の遊歩道などを選んで歩かせてあげましょう。柔らかい地面は衝撃を吸収してくれるだけでなく、バランスを取るために太ももの内側の筋肉を効果的に使うことができます。
2. 「ゆっくり歩き」と「小走り」を混ぜる
ただダラダラと歩くのではなく、飼い主さんのペースに合わせて少しだけ「小走り(トロット)」をする時間を混ぜてみてください。規則正しいリズムで小走りをすることで、後ろ足の筋肉に程よい刺激が入り、効率よく筋肉を育てることができます。ただし、息が上がるほどの猛ダッシュは絶対に避けてください。
【警告】パテラを急激に悪化させる!日常に潜む3つのNG行動
お散歩でどれだけ気をつけていても、おうちの中での何気ない行動がパテラにとって致命傷になることがあります。以下の3つの行動は、今日から絶対にやめさせましょう。
NG行動1:フローリングでの激しいボール遊び
滑りやすいフローリングの上を走ったり、投げたボールを追いかけて「急ブレーキ」や「急な方向転換」をしたりする動きは、膝の関節と靭帯に破壊的なダメージを与えます。パテラの進行を一気に早めるだけでなく、靭帯断裂などの大怪我に繋がる最も危険な行動です。
NG行動2:ソファやベッドからの飛び降り
犬がソファからジャンプして床に着地する瞬間、前足と後ろ足の関節には体重の何倍もの凄まじい衝撃がかかります。人間で例えるなら、毎日高い塀の上からコンクリートに飛び降りているようなものです。必ず犬用のステップ(階段)やスロープを設置し、そこを使うようにしつけてください。
NG行動3:飼い主を見上げての「二本足立ち(ちょうだいポーズ)」
おやつをねだる時や、飼い主さんが帰宅して喜んでいる時によくやる「後ろ足だけで立つポーズ」。可愛らしい仕草ですが、本来4本の足で分散するはずの体重が、不安定な後ろ足2本(しかも膝を曲げた状態)にすべて乗ることになります。パテラの膝には耐えきれないほどの負荷がかかるため、見つけたらすぐに「お座り」や「伏せ」の指示を出してやめさせましょう。
雨の日や散歩に行けない日の「おうちリハビリ(筋トレ)」
悪天候でお散歩に行けない日でも、おうちの中で安全にできる簡単な筋力トレーニングがあります。それが「犬のスクワット(お座り→立つ)」です。
滑りにくいマットの上で、愛犬の大好きなおやつを鼻先に持っていき、「お座り」をさせます。次に、おやつを少し上に引き上げて「立って(または、おいで)」と声をかけ、四つん這いの姿勢に戻させます。これを5〜10回ほど繰り返すだけで、太ももの筋肉を鍛える立派なスクワット運動になります。
※先ほどNG行動で挙げた「二本足立ち」にならないよう、おやつの位置を高くしすぎず、必ず「4本足で立った状態」をキープさせるのがポイントです。
まとめ:正しい食事と安全な運動の「両輪」で膝を守る
パテラケアにおいて、「筋肉をつけるための食事」と「筋肉を育てるための運動」は、どちらか一つが欠けても成り立たない車の両輪です。
・硬い道を避け、質の高いお散歩を心がける ・フローリングでのダッシュやジャンプ、二本足立ちは絶対に避ける
・室内での安全な「スクワット」で無理なく筋肉を刺激する
これらを意識するだけで、愛犬の膝にかかる負担は劇的に減り、将来の歩行を支える筋肉が着実に育っていきます。毎日の少しの心がけで、愛犬の痛みのない未来を守ってあげましょう。

